働き方の変化について

東京都テレワーク実施率

『将来の人口について』では、日本の人口や東京都の就業者数の将来予測についてお伝えしました。日本全体としては既に人口は減少フェーズにあること、東京に関してはしばらくは若干の上昇推移ではあるものの10年もしないうちにどのエリアでも減少が始まることを公的機関の公表資料を基にお伝えしました。しかし、就業者数の予測はコロナ感染拡大前の動態に基き算出された予測値であり、昨今のトレンドが反映されているものではありません。コロナ感染拡大以降に急速に在宅勤務が普及したことから、実際の東京都の就業者数の減少は予測数値以上になることも考えられます。今回は近年の働き方の変化についてまとめたいと思います。

緊急事態宣言が発令されて以降、働き方は大きく変化しました。以下は東京都が公表するテレワーク実施率の推移です。オフィス回帰の流れもありなだらかな減少傾向ではありますが、今もなお半数近くの企業はテレワークを実施しています。また、従業員を多く抱える企業ほど実施率が高くなっており、300人以上の企業に至っては、64.6%の実施率になっています。出社や在宅勤務を組み合わせるハイブリッドな働き方も浸透しており、このような働き方は既に定着しており、オフィス需要はコロナ前と比較して縮小しているといって差し支えありません。

帝国データバンクは、全国の企業を対象にコロナ前と比較した働き方の変化について調査した結果を公表しています。結果は右下図の通りで、『半分以上異なる』、『2割程度異なる』と回答した企業と、『コロナ前と同じ』と回答した企業が半々くらいです。異なると回答した中には、在宅勤務の継続といった声も含まれています。また、こちらも従業員規模に比例して、働き方が異なる割合は高くなっています。

フリーアドレスの導入状況

在宅勤務が普及するなか、働き方改革によるフリーアドレスの導入も広まっています。森ビルの調査によると、「フリーアドレスの導入状況」に関して、「既に導入している」との回答は、19%(2019年)から40%(2022年)に増加しており、今後の導入予定も合わせると半数近くになります。
また在宅勤務やフリーアドレスの導入に伴って、一人当たりのオフィス使用面積も小さくなりつつあります。ザイマックス不動産総合研究所の調査によると、フリーアドレス導入に伴い、在籍社員一人当たりのオフィス面積は、4.02坪(2008年)から3.66坪(2022年)へと減少をしています。

まとめ

前回示した通り、東京都の就業者数は将来的に減少していきます。また一人当たりオフィス面積も狭くなりつつあるというトレンドであるにも関わらず、東京都内では至る所で再開発が行われ、大量のオフィス床が供給されようとしているのが現状です。経費削減のため、オフィスを解約する、縮小する企業も一定数存在する中、また、競合するオフィスビルが大量にある中で、果たしてオーナーにとって有利な条件で再開発後のオフィスビルを貸し出すことはできるのか、仮に有利な条件で貸し出すことができたとして、その収益を将来にわたって維持することができるのか、しっかりと検討しなければなりません。

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