再開発における不動産の評価
不動産には、様々な目安となる指標があります。2018年の資料に基づくと地権者全員の従前資産価格は、合計1,050億円と設定されています。
内訳
土地 約10,100㎡ × 9,100千円/㎡ = 約920億円
建物 約69,000㎡ × 290千円/㎡ = 約130億円
尚、土地の想定価格は
2018年当時の相続税路線価から以下計算にて算出されています。
7,000千円/㎡ × 1.3 = 9,100千円/㎡
この計算式で算出された不動産価格(1,050億円)に非常に違和感を受けます。
不動産鑑定額と取引価格
皆さんは不動産の取引(購入)を検討したことがありますでしょうか。
また知り合いの不動産業者がいれば自らが所有している土地建物がいくらで取引されるか確認したことがありますでしょうか。
上記で記載されていた金額をみた時に強烈な違和感を受けました。
今まで東京5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の不動産売り物件を見た方であれば上記の評価額が安いと感じられたのではないでしょうか。古いビルであろうと一般的な取引価格においては、2倍程度の価格を提示されることが多かったと記憶しています。
逆に東京5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の不動産取引の話をする時に不動産鑑定額で購入したいと不動産業者にお願いしたとすれば大半は、鼻で笑われる(断られる)ことになると思います。つまり不動産鑑定額と取引価格は違いが生じるのです。
何故不動産鑑定額と取引価格が異なるかと言えば、取引価格には需要の影響を受けるからです。「人気のある土地である」、「強くその土地が欲しい」と希望する者がいれば、土地自体が唯一無二の物である為、価格を高く設定しないと取引に応じてもらえないので価格があがるのだと考えます。逆に需要が低い場所であれば不動産鑑定額を下回る取引価格になることも事実です。
ちなみに気になって調べましたが「アメリカ」、「イギリス」、「オーストラリア」は、調べた限り不動産鑑定は存在し、取引価格と不動産鑑定額は全て異なります。その事がスタンダートなのです。
現状の土地建物の評価は適切なのでしょうか。地権者全員が自らの土地建物の価値を正しく検討すべきだと感じますし、ベースの考え方を変えてもよいのではないでしょうか。
地権者としての考え方
地権者として、全体の土地建物の評価があがることはマイナスなのでしょうか。
準備組合は、地権者で構成されていると認識しています。また地権者の代表者として意思決定しているのではないでしょうか。地権者の土地建物の評価を低く見積もられることに対して異議を申し立て、全員の価値を最大化するように努力しないのでしょうか。
土地建物を購入したいと言われて渋谷駅徒歩1分の場所を相続税路線価の1.44倍程度(土地建物込み)の取引価格で手放す事に同意をするのでしょうか。
再開発における不動産評価額は、地権者としての投資額です。再開発後の資産の分配は以下の計算にて成り立っていると理解しています。
再開発後の資産 = 地権者の不動産評価額 + 再開発に必要な経費 + 補助金
つまり以下の公式が成り立ちます。
不動産評価額が小さい時、再開発後の割当資産が減る
不動産評価額が大きい時、再開発後の割当資産が増える
個別の評価のあり方は、地権者の中で意見がわかれると思いますが少なからず最低の条件を引き上げて地権者としてメリットがあるように交渉することは行わないのでしょうか。
尚、八重洲二丁目中地区の再開発においては変わった評価方法を使用したケースがあるので紹介します。
「地権者の不動産評価額」
= 「従後の不動産評価額」 - 「再開発に必要な経費 - 「補助金」
上記計算をして算出するというものでした。
わかりやすく言えば、新しく作る建物含めた不動産価値を算定することから逆算をして現状の土地の価値を決めるという方法です。
結論として本再開発の計画において資金を投下した以上の価値を生み出すことができれば地権者の不動産価値を高く評価できるという考え方です。本再開発の計画において価値を創造できないのであればやるべきではないのかもしれません。
全地権者で再度確認をすべきだと考えます。
A地区、B地区、C地区それぞれどのようなものが建てられ収益がどうなるのか、それぞれにどの程度資金がかかるのか、全体がうまくいかない計画であれば絶対にやるべきではないと考えます。
全体の計画を開示頂き、皆で検証をしてみるべきではないでしょうか。
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